通常「梅」といえば春の季語で、冬に咲く梅は「冬の梅」と呼びます
夏になると枝に実が付き「青梅」が見られます
時期によっていろいろな季語があります
梅の季語の中には、花兄、梅暦など、少し意味の分かりづらいものが含まれています
ここでは、梅に関連する季語と意味と共にまとめていますので、俳句を作る際の参考になさってください
(春の季語の)梅
梅(うめ)
梅は早春の寒さが残る中、他の花にさきがけて花を咲かせる
気品ある清楚な姿は、古くから桜とともに日本人に愛され、多くの詩歌に詠まれてきた
花の兄(はなのあに)、花兄(かけい)
早春、どの花よりも先に咲くことから「花の兄」と呼ばれる
好文木(こうぶんぼく)
ウメの別名
匂草(においぐさ)
ウメの別名。香り高いことから。
風待草(かざまちぐさ)
ウメの別名
春告草(はるつげぐさ)
雪が解け始める時期、春を告げるように咲くことから呼ばれる
野梅(やばい)
野生の梅、または野に咲く梅
梅が香(うめがか)
梅の花の香りのこと。「が」は、現在の助詞の「の」に相当する
梅暦(うめごよみ)
ウメの別名
ウメの花の咲くのを見て春を知るところから
梅の宿(うめのやど)
梅のたくさん咲いている家
梅の里(うめのさと)
梅のたくさん咲いている村
紅梅(こうばい)
梅のうち赤い花を咲かせる種類とその花をさす
濃い色から淡い色、八重、一重などがあり、白梅より少し遅れて咲く
白梅(しらうめ、はくばい)
白い花の梅。白い花を咲かせる梅
(夏の季語の)梅
青梅(あおうめ)、梅の実(うめのみ)、実梅(みうめ)
熟す前の、青色の梅の実をいう
梅干(うめぼし)
梅を塩漬にしたものを、土用の頃に一度だけ日に干して果肉を軟らかくし、再び梅酢で漬けた保存食品
梅酒(うめしゅ)
梅の実を焼酎に漬けて造る果実酒
(冬の季語の)梅
寒梅(かんばい)、冬の梅(ふゆのうめ)、冬至梅(とうじばい)
寒中に咲く梅
初名草(はつなぐさ)
寒梅の異名
早梅(そうばい)、早咲の梅(はやざきのうめ)、梅早し(うめはやし)
風土により早めに咲いた梅の花のこと
探梅(たんばい)、梅探る(うめさぐる)、探梅行(たんばいこう)、春の便り(はるのたより)
早咲きの梅をたずね歩くことを探梅という
枯れ尽くした大地の中に春の兆しを探す心映えを尊ぶ
寒気の残る山野を一輪の梅を探し求て歩く
「春の便り」という季語は、「春の便りをたずね歩く」という意味なので冬の季語です。春の季語と間違えて俳句に使わないように、気を付けてください。
梅の有名な俳句
梅の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きなものは次の3つです
春もやや景色ととのふ月と梅 芭蕉
梅一輪一輪ほどの暖かさ 嵐雪
二もとの梅に遅速を愛すかな 与謝蕪村
理屈抜きに良い作品です