俳句では「紅葉」は秋の季語になっています
紅葉に関連する季語は沢山あり、歳時記を見ても、意味の分からないものも中にはあるため、ここでは紅葉に関連する季語を、意味と共にまとめています
俳句を作る際の参考になさってください
- (仲秋の季語の)紅葉
- (晩秋の季語の)紅葉
- 紅葉(もみじ)
- もみぢ葉(もみじば)、色葉(いろは)
- 紅葉の錦(もみじのにしき)
- 谷紅葉(たにもみじ)
- 川紅葉(かわもみじ)
- 山紅葉(やまもみじ)
- 梢の錦(こずえにしき)
- 草紅葉(くさもみじ)、草の紅葉(くさのもみじ)、草の錦(くさのにしき)
- 草の色(くさのいろ)、色づく草(いろづくくさ)
- 柿紅葉(かきもみじ)
- 紅葉の賀(もみじのが)
- 柞紅葉(ははそもみじ)
- 楢紅葉(ならもみじ)
- 漆紅葉(うるしもみじ)
- 櫟紅葉(くぬぎもみじ)
- 白膠木紅葉(ぬるでもみじ)
- 櫨紅葉(はぜもみじ)
- 梅紅葉(うめもみじ)
- 葡萄紅葉(ぶどうもみじ)
- 雑木紅葉(ぞうきもみじ)
- 満天星紅葉(どうだんもみじ)
- 合歓紅葉(ねむもみじ)
- 紅葉かつ散る(もみじかつちる)、色ながら散る(いろながらちる)
- 水草紅葉(みずくさもみじ)、萍紅葉(うきくさもみじ)
- 紅葉の観賞に関する季語
- (冬の季語の)紅葉
- 「紅葉」の言葉が入った季語
- 紅葉の有名な俳句
- 四季でみられる季語の関連記事
(仲秋の季語の)紅葉
初紅葉(はつもみじ)
いち早く紅葉し山野に秋の訪れを告げるものをいう。櫨、七竈、ぬるでなどがある。紅葉で最も有名な楓は、これより遅く紅葉する。
薄紅葉(うすもみじ)
緑の残る淡い色の紅葉をいう。紅葉の走りではあるが、深い紅の紅葉とは違った趣を持つ。
桜紅葉(さくらもみじ)
桜の葉が色づくこと。桜は、比較的早く色づく木である。あざやかな朱色にならないのであまり注目されることがないが、素朴な味わいがある。
(晩秋の季語の)紅葉
紅葉(もみじ)
落葉樹の葉が赤や黄色に色づき、野山の秋を飾ること
紅葉といえば主に楓のことをいう
紅葉を愛でる習慣は平安の頃から始まったとされる
もみぢ葉(もみじば)、色葉(いろは)
赤や黄色に変わった、落葉木の葉っぱ
「もみぢ葉」は旧仮名表記、「もみじ葉」は新仮名表記。俳句では旧仮名を使っている人は、間違わないように注意しましょう
紅葉の錦(もみじのにしき)
紅葉の美しさを錦に見立てていう語
谷紅葉(たにもみじ)
紅葉で色どられた谷をいう
川紅葉(かわもみじ)
紅葉で色どられた川
山紅葉(やまもみじ)
紅葉で色どられた山
梢の錦(こずえにしき)
紅葉のことで、枝の美しさを錦に見立てたもの
草紅葉(くさもみじ)、草の紅葉(くさのもみじ)、草の錦(くさのにしき)
山野の草々が色づいくこと
古くは草の錦とも呼んだ
草の色(くさのいろ)、色づく草(いろづくくさ)
秋になり色づいた草をいう
「草の色」ではなく「色草」と書くと、秋の野や庭園を彩るいろいろな草を総称した言葉となるので、間違わないでください
柿紅葉(かきもみじ)
柿の葉が紅葉すること
柿の葉の本来の緑に赤や黄や茶などさまざまな色が入り混じって美しい
紅葉の賀(もみじのが)
紅葉の美しい頃に催す祝宴、または紅葉を観賞する宴をいう
奈良時代に始まったとされ、「源氏物語」には当時の華やかな宴の様子が描かれている
柞紅葉(ははそもみじ)
ブナ科コナラ属の落葉高木の紅葉を総称していう
高さ十五~二十メートル程の雑木で、小楢、くぬぎ、大楢などを指す
楢紅葉(ならもみじ)
楢の葉の紅葉したもの
漆紅葉(うるしもみじ)
漆が紅葉すること
最初は黄色く、しだいに美しい朱色に色づく
山漆は特に美しい
櫟紅葉(くぬぎもみじ)
櫟の葉が色づくこと
櫟は山地の雑木林などに自生する落葉高木で、葉は黄褐色に色づく
その実は団栗として親しまれる
白膠木紅葉(ぬるでもみじ)
ぬるでの木が色づくこと
いくらか黄味がかった朱色の葉はあざやかで美しく、紅葉山の中においても鮮やかである
櫨紅葉(はぜもみじ)
櫨の木が紅葉すること
実も葉も真紅に色づく
山野に自生するが、その紅葉の美しさから、庭木や花材にも好まれる
梅紅葉(うめもみじ)
梅の葉が色づくこと
色づいてもほとんど目立たず、すぐに散ってしまう
葡萄紅葉(ぶどうもみじ)
葡萄の葉が紅葉すること
いくらかくすんだ感じに色つくが、広大な葡萄畑のそれは壮観である
山葡萄の紅葉は栽培種よりも鮮やかで美しい
雑木紅葉(ぞうきもみじ)
雑木林が紅葉したものを言う
楢、ぶな、くぬぎ、楓といったさまざまな木々の色合いが重なり合う
満天星紅葉(どうだんもみじ)
満天星躑躅の葉が紅葉すること
生垣や公園など身近なところで目にする紅葉
合歓紅葉(ねむもみじ)
合歓の木が色づくこと
黄色く色づいても過ぐに落葉する
銀杏や楓のような鮮やかさはない
紅葉かつ散る(もみじかつちる)、色ながら散る(いろながらちる)
紅葉しながら、ちりゆく紅葉のこと
水草紅葉(みずくさもみじ)、萍紅葉(うきくさもみじ)
萍(うきくさ)、睡蓮、菱(ひし)など水草が紅葉すること
水面に映える紅葉は、地上の紅葉とはまた違った趣を持つ
紅葉の観賞に関する季語
紅葉狩(もみじがり)、紅葉見(もみじみ)
紅葉を観賞するため、山野などを訪ねる歩くこと
紅葉をめでながら酒を酌み交わすこともある
晴れた日に家族そろって眺める紅葉は格別
観楓(かんぷう)
もみじを観賞すること
紅葉踏む(もみじふむ)
おちた紅葉をふんで歩くこと
紅葉酒(もみじざけ)
紅葉の葉を浮かべた酒
紅葉茶屋(もみじじゃや)
紅葉見の客のために設けられた休み茶
紅葉舟(もみじぶね)
川や湖上に舟を浮かべて、岸の紅葉をたのしむ遊山舟
(冬の季語の)紅葉
散紅葉(ちりもみじ)、色葉散る(いろはちる)
冬の訪れとともに紅葉が色褪せ、しだいに散っていくこと
水分が少なくなり軽くなった葉は、軽々と風に飛ばされる
冬紅葉(ふゆもみじ)
周辺が枯れを深めるなかの紅葉
冬になってから色 が際立ってくる庭園や寺社などの紅葉もある
残る紅葉(のこるもみじ)
冬になって枝に残っている紅葉
「紅葉」の言葉が入った季語
紅葉鮒(もみじぶな)
秋になって鰭や鱗に朱をおびた鮒をいう
おもに琵琶湖で獲れる鮒をいい、鮒鮓もこの頃の味のよい鮒を用いる
紅葉たなご(もみじたなご)
秋になって腹部を紅葉色にそめたたなごをいう
紅葉鮒にならってこう呼ばれる
紅葉衣(もみじごろも)
もみじ襲の色目一つ
表は紅または赤、裏は濃蘇芳又は青、又は濃い赤
陰暦九月九日より着用したとされる
秋の季語になっている
紅葉焚く(もみじたく)
散った紅葉を集めて焚くこと
晩秋の季語
紅葉鍋(もみじなべ)
鹿の肉を用いた鍋のことで冬の季語
血行が良くなり体が温まる
「もみじ」は鹿の肉の隠語で、花札の十月の紅葉の意匠から来たもの
紅葉の有名な俳句
紅葉の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きなものは次の2つです
障子しめて四方の紅葉を感じをり 星野立子
全山のもみぢ促す滝の音 山内遊糸
紅葉は季語としても有名なため、多くの俳句がありますが、この2つはその中でも特に際立って良い俳句だと感じます