俳句では百合といえば夏の季語ですが、春にも百合の季語はあります
百合には種類があるため、その違いを俳句で使い分けるのは中々難しいものです
ここではそれぞれの百合の違いの他、百合の見分け方などを紹介します
俳句を作る際の参考になさってください
(夏の季語の)百合
百合(ゆり)、百合の花(ゆりのはな)
ユリ科の植物で、夏にラッパ形の香り高い花を咲かせる
白に紅の斑がある山百合、黄赤に紫の斑がある鬼百合、花が大砲の筒のような鉄砲百合など、原種だけでも百種以上を数える
「ゆり」の語源は「揺り」で、「百合」の字を当てるのは、ゆり根の鱗茎の重なりあうさまからきている
白百合(しらゆり)
白いユリの花
鬼百合(おにゆり)
百合の一種。草丈は1~2m程となり大型。葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖る。
茎は紫褐色で細かい斑点が特徴
日本では北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、一説には中国からの渡来種と言われている
鉄砲百合(てっぽうゆり)
葉が細く、花は白を基調とするものの薄い紫色の筋が入り、花被片は6枚
外側の花被片は橙褐色になり、花は横向きだが少し下に傾くことが多い
花びらの形がラッパに似ていることに由来
笹百合(ささゆり)、山百合(やまゆり)
日本特産で日本を代表するユリで、淡いピンク色の花を咲かせる
地域によっては、ヤマユリと呼ぶこともある
姫百合(ひめゆり)
数個の赤い6弁花を上向きにつける百合で、本州南部に自生する
他のユリに比べてやや小ぶりで可憐な花姿から、観賞用に栽培もされる
姫小百合(ひめさゆり)、乙女百合(おとめゆり)
日本固有種のユリの中ではもっとも早咲く
花色は淡ピンクから濃ピンクで斑点はなく、雄しべは黄色、ほのかに甘い香りがある
新潟・福島・山形県の山地などに自生する
車百合(くるまゆり)
葉は披針形で輪生し、6枚の花被片はオレンジ色で、濃紅色の斑点がある
花弁は強く反り返る
鹿の子百合(かのこゆり)
甑島列島で多く自生する
草丈は1〜1.5m、約10cmの花弁に鹿の子模様の斑点があり、名の由来になっている
観賞用に栽培もされる
透百合(すかしゆり)
赤褐色の斑点を持つ橙色の花で、花弁の付け根付近が細く、隙間が見えることから「透かし」百合と呼ばれる
高さ約30センチ。葉は細長い。初夏、黄赤色の花を2、3個上向きにつける
高砂百合(たかさごゆり)
葉は細く、トランペット型の花には赤い筋が入る。香りはすくない。
日当たりの良い土地に生えるが、石垣にも崖地にも生える
山百合(やまゆり)
北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する百合
名は山中に生えることに由来
(春の季語の)百合
稚児百合(ちごゆり)
ユリ科の多年草で、林や山林、丘陵などの木の下の比較的明るいところに自生する
高さは二十センチ前後で、二センチほどの白い可憐な花をつける
百合の見分け方
日本の百合は大きな三分類があり、そこから細かく分かれます
写真と共に特徴の違いをまとめていますので、参考になさってください
それぞれの花の違いを理解して俳句が作れるようになると、さらに俳句作りが楽しくなります
百合の有名な俳句
百合の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きなものは次の俳句です
すぐひらく百合のつぼみをうとみけり 安住敦
さりげない句ですが良いです