牡丹と言えば俳句では夏の季語です
ただ牡丹は四季のそれぞれに別の顔を見せます
ここでは、四季それぞれの牡丹の季語と、その意味を紹介しています
俳句作りの参考になさってください
(夏の季語の)牡丹
牡丹(ぼたん)、ぼうたん
ボタン科の落葉低木
5月ごろ、白・紅・紫・黄色など芳香のある大輪の花を咲かせる
深見草(ふかみぐさ)、二十日草(はつかぐさ)、富貴草(ふうきぐさ)
ボタンの別名
白牡丹(はくぼたん、しろぼたん)
白色の牡丹花
牡丹園(ぼたんえん)
牡丹を咲かせている庭
野牡丹(のぼたん)
ノボタン科の常緑低木
7月~8月ごろ、枝先に紅紫色の五弁の花をつける
牡丹に似ていないが、牡丹のように美しいのでこの名がついた
狐の牡丹(きつねのぼたん)、山狐の牡丹(やまきつねのぼたん)
キンポウゲ科の多年草
野原や田の畦、道ばたなどで見られる
葉が牡丹に似るところからつけられた名前
実の形からコンペイトウグサとも呼ばれる
松葉牡丹(まつばぼたん)
葉は松葉に似て、花は牡丹のように鮮やかなところからこの名がついた
(冬の季語の)牡丹
牡丹焚火(ぼたんたきび)、牡丹焚く(ぼたんたく)、牡丹供養(ぼたんくよう)
須賀川牡丹園や、奈良県の長谷寺でおこなわれる
天寿を全うした牡丹の枯木を、感謝と供養のために焚く
牡丹粗朶(ぼたんそだ)
牡丹焚火の為に枝を切り集めること
粗朶(そだ)とは、焚き木などのために切り取った木の枝を指す
牡丹鍋(ぼたんなべ)、猪鍋(ししなべ)、山鯨(やまくじら)
猪の肉を用いた鍋料理
野菜、焼豆腐、糸蒟蒻などと一緒に煮る
味付けは味噌あるいは醤油
山鯨(やまくじら)とは、イノシシ(更に、獣)の肉の異称
葉牡丹(はぼたん)
アブラ菜科の越年草でキャベツの変種
牡丹に似ているため、この名が付いた
正月用の生け花や鉢植として観賞される
牡丹菜(ぼたんな)
ハボタンの異名
寒牡丹(かんぼたん)、冬牡丹(ふゆぼたん)
夏の花である牡丹の花芽をつみとって冬に咲かせたもの
藁囲いをして、寒さの中大輪の花を咲かせる
年二度咲きの品種を仕立てている
(春の季語の)牡丹
牡丹の芽(ぼたんのめ)
牡丹は早春に朱色の太い芽が膨らむ
春の到来を教えてくれる
(秋の季語の)牡丹
牡丹の根分(ぼたんのねわけ)
牡丹の良い株を選んで、移し植えること
牡丹の接木(ぼたんのつぎき)
2個以上の牡丹を、人為的に作った切断面で接着して、1つの個体とすること
牡丹植う(ぼたんうう)
牡丹を植えること
草牡丹(くさぼたん)
キンポウゲ科の落葉半低木
葉の形がボタンに似ることからこの名がついた
北海道から本州にかけての山地、林道脇などに分布
鐘形(ベル)のような花をまばらに付ける
牡丹の有名な俳句
牡丹の有名な俳句はいろいろありますが、個人的に好きなものは次の2つです
花ながら植ゑかへらるる牡丹かな 越人
牡丹散りて打ちかさなりぬ二三片 蕪村
一物仕立ての良さが存分に出ている俳句