俳句を作っていると、一番伝えたいことがどこかにいってしまうような経験はありませんか?
この悩みは、俳句を始めたばかりの人なら誰でもが一度は通る道です。
一番伝えたかったことが、なぜ忘れてしまうのでしょうか?
言葉の選びにこだわりすぎる
言葉の選びにこだわりすぎることで、一番伝えたかったことを忘れてしまう、ということがあります。
例えば、「晩秋を 落ちる夕日の 速さかな」という句を考えてみましょう。
夕日が落ちる速さに感動し、この情景を詠みたかったとします。しかし、推敲を重ねるうちに、「落ちる」という表現が少し物足りなく感じられ、「もっと美しい言葉はないか」と悩んでしまいます。
周りの俳人の作品を見て、難解な言葉や洗練された表現に感心し、自分の句もそれに近づけようと、言葉選びにこだわりすぎてしまうこともあるでしょう。
結果として、夕日の速さという、最初に句の中心に据えていたテーマが「落ちる」に移動したり、技巧的な表現ばかりが目立つ句になってしまうことがあります。
語順をいじりすぎる
俳句の推敲では、言葉の順番を入れ替えることで、より良い表現を探ることがよくあります。しかし、何度も語順を変えすぎると、どの順番が最も効果的か分からなくなり、かえって最初の印象から遠ざかってしまうことがあります。
例えば、「晩秋を 落ちる夕日の 速さかな」という句は、夕日が落ちる速さに焦点を当てています。しかし、語順を「晩秋の 夕日は急きて 落ちにけり」に変えると、今度は夕日が落ちる様子そのものに重点が移り、「速さ」という最初のテーマが薄れてしまいます。
このように、語順を細かく調整しすぎると、句の中心となるものが変わってしまい、伝えたいことがぼやけてしまうのです。
句の中心を明確にする
俳句の推敲時に、句の中心がずれてしまわないためにも、何を表現したいのかを具体的に書き出し、句の中心を定めましょう。
例えば、「夕焼けが綺麗」と思ったとします。
でも、「夕焼けが綺麗」だけでは、ちょっとぼんやりしていますよね。
そこで、もう少し具体的に「夕焼けが燃えるように赤くてきれい」と決めてみましょう。
こうすることで、俳句を作る時に、「燃えるように赤い」というイメージを大切にしながら言葉を選べるようになります。
句の中心となるものが具体的に決まっていれば、「このテーマで俳句を作るのは難しそうだな」とか、「これは面白そうなテーマだ!」とか、作品の出来栄えをある程度予測できるようになります。
例で考えてみますね
ダメな例: 「銀杏が散った」
何が面白いのか、どこが感動したのかが分かりません。
良い例: 「銀杏が一斉に渦を巻いて散った」
銀杏が渦を巻いて散る様子が目に浮かびます。この瞬間の驚きや美しさを表現できそうです。
テーマを書くと、客観的にそのテーマの良し悪しが分かります。
まとめ
俳句を作る時は、最初に「何を伝えたいのか」をハッキリさせましょう。
句の中心を決めることで、ぶれずに作品を作ることができ、それが、良い俳句作品につながります。