「・・・だから」俳句を直す方法

俳句において、「だから」という表現を使うことは一般的に避けられています。これは、俳句が単なる説明や報告ではなく、詩的な美を追求する文芸形式であるためです。
ここでは、「だから」俳句を避ける理由や直し方について記事にしています。

「だから」という表現を避ける理由

俳句においては、「○○だから△△した」という形式の表現が推奨されません。これは、俳句が直接的な因果関係を説明するものではなく、感覚や印象を繊細に伝えるためのものだからです。

例えば、「早朝に桜は光り輝きぬ」という句では、直接的に「だから」という言葉を作っているわけではありませんが、「早朝に」の「に」が、簡単に「だから」に変換されてしまいます。

早朝桜は光り輝きぬ
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早朝(だから)、桜は光り輝いていた

助詞に「だから」が隠れている

上に書いたように、俳句では「だから」という表現は使わなくても、「だから」と同じような役割を果たしている助詞があり、気が付かない間に使ってしまいます。

ですので、句を作ったらいちど、助詞が「だから」に置き換わらないか、確認する癖をもったほうが良いと言えます。

台風一家総出で非難した
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台風(だから)、一家総出で非難した


寒くコートを着た
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寒い、(だから)コートを着た

因果関係を出すことの問題点

俳句は、ある瞬間を切り取り、その情景や感情を凝縮して表現する芸術です。因果関係を明確に表現してしまうと、一瞬を切り取るという俳句の特性から離れ、物語性を帯びてしまうことがあります。

これは、物語性の強い俳句が悪いということではありません。家族との絆や自身の成長を描いた俳句は、読者に感動を与えます。
ただ、先ほどあげた「早朝に桜は光り輝いた」といった、ある瞬間を切り取った題材の場合、「早朝だから、桜は光り輝いた」というように、因果関係が感じられ物語的な要素が強まるよりも、一瞬の美しさを表現したほうが、作品としてはよくなります。

読者の想像力を刺激する

俳句は、読者に余白を残し、それぞれの想像力を刺激することを目指します。
「・・・だから」のように、因果関係を説明してしまうと、読者はただ与えられた情報を受け取るだけで、自ら情景を想像したり、感情を共感したりする機会を失ってしまいます。

例えば、「夕焼けだから、心が安らぐ」という内容では、因果関係が明示的すぎて、読者は作者の感じた安らぎを共有するだけとなり、自分の心に生まれた夕焼けの情景や、そこから生まれる様々な感情を自由に想像することが難しくなります。

一方、「夕焼けが空いっぱいに広がった」という内容であれば、その瞬間を切り取っただけで、他は何も言っていないため、読者に余白を与えます。読者はこの短い景色から、自分自身の経験や記憶を呼び起こし、夕焼けの持つ様々な意味や感情を自由に想像することができます。

このように、俳句は、読者に思考の余地を残すことで、一人ひとりの心に異なる風景や感情を描き出すことができます。
「・・・だから」という表現は、これを制限する可能性があるということです。

「だから」俳句は、視点を変える

もし自分が作った俳句が「○○だから△△した」と読み替えられるようなら、視点を変えてみることが有効です。

例えば、「早朝だから、桜は光っていた」という表現ではなく
「早朝の桜は、結晶のように光っていた」
「早朝の桜は、儚い美しさで光っていた」
という視点にすることで、「だから」の表現が消えて、より詩的な句になります。

最後に

俳句作りにおいて「・・・だから」という表現が隠れていた場合、もっと詩的で繊細な言葉を探すことで、よりよい作品になるはずです。
ぜひ、意識してみてください。

こちらでは、説明的な俳句の直し方を12個紹介しています。
自分の俳句をどうやって直せばよいのか分からない人でも、直す場所や、直し方のポイントなどが分かるようになるので、併せてお読みください。

説明的な俳句の直しかた12の方法 >>>

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