「梅雨」と子季語の意味

「梅雨」を歳時記で調べると、梅雨の他に梅霖(ばいりん)や黴雨(ばいう)と言った季語も紹介されています
聞きなれない季語であるため、初めのうちは戸惑ってしまうのではないでしょうか
ここでは、初めて目にする季語でもすぐ使えるように、子季語の意味をまとめておきます

意味を理解して使えるようになると、俳句の幅も広がるはずですし、俳句が楽しくなるはずです

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梅雨

梅雨(ばいう、つゆ)、梅霖(ばいりん)
春から夏に移る時期にみられる雨の季節
梅雨時期の雨は長く、湿潤高温な気候はカビ害、食中毒などを招きやすい
「梅雨」と「五月雨」は同じであるが、梅雨は主として五月雨の降る季節をさし、五月雨は雨そのものをさすことが多い

梅雨入(つゆいり、ついり)、梅雨の入り(つゆのいり)、梅雨に入る(つゆにいる)、入梅(ついり、にゅうばい)、梅雨始まる(つゆはじまる)、梅雨めく(つゆめく)
梅雨に入ること
梅雨入りは沖縄地方が 5月8日頃で、東北北部が 6月12日頃である
「ついり」は「つゆいり」の転

梅雨明け(つゆあけ)、梅雨あがる(つゆあがる)、梅雨の後(つゆのあと)、梅雨明く(つゆあく)
梅雨が明けること
梅雨明けは沖縄地方が 6月23日頃で、東北北部が 7月27日頃である

黴雨(ばいう)
梅雨(ばいう)と同義
この時期に黴かびが生じやすいことから黴雨とも書く

梅雨時(つゆどき)
梅雨のころ。梅雨期。
梅雨時は生物(なまもの)がいたみやすい

梅の雨(うめのあめ)
「梅雨」の訓読み
梅の実が木から降り落ちることも「梅の雨」と言うので、俳句で使う場合は、間違われないように注意が必要

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梅雨時期の感覚

梅雨寒(つゆざむ)
梅雨時に訪れる季節はずれの寒さ

梅雨冷え(つゆびえ)
つゆ時に急に冷えこむこと

梅雨めく(つゆめく)
梅雨らしくなる
梅雨という感じがはっきりすること

梅雨じめり(つゆじめり)
梅雨で湿っぽいこと

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雨の降り方

空梅雨(からつゆ)
梅雨の期間でありながら雨量がきわめて少ないか,ほとんどない現象。

男梅雨(おとこづゆ)
雨が降るときは短期間に大量に降り、降らないときはすっきりと晴れるような梅雨を男梅雨という

女梅雨(おとこづゆ)
あまり強くない雨が長く続くような梅雨を女梅雨という

長梅雨(ながつゆ)
梅雨の期間が長いこと

荒梅雨(あらづゆ)
梅雨時期の荒れ模様の天気

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雨の状態

長雨(ながあめ)
長く降り続く雨。霖雨(りんう)。

霖雨(りんう)
長く降り続く雨。
三日以上降り続く雨。
長雨(ながあめ)

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梅雨前後の天候

走り梅雨(はしりづゆ)、迎へ梅雨(むかへづゆ)
梅雨に先立って、梅雨らしい現象が現われること

送り梅雨(おくりづゆ)
梅雨明けのころの雨。雷を伴うことが多く、集中豪雨になることもある
去ってゆく梅雨を送るという

戻り梅雨(もどりづゆ)、返り梅雨(かえりづゆ)
梅雨明け後に、ふたたび梅雨に戻ったような長雨が続くこと。

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梅雨の頃に見られる天文

梅雨前線(ばいうぜんせん)
5月から 7月にかけ、日本列島を南から北上する停滞前線
日本列島上に湿った暖気を南風として送り込む

青梅雨(あおつゆ)
梅雨の前から木々は青々となる。そうした木々の葉に降る雨を指す。

梅雨空(つゆぞら)
梅雨時の、雨雲におおわれた空模様。

梅雨の月(つゆのつき)
梅雨の時期に見られる月

梅雨の星(つゆのほし)
梅雨の時期に見られる星

梅雨雲(つゆぐも)
梅雨時期の雲

梅雨の雷(つゆのらい)
梅雨時期の雷。梅雨明けのころに多い。

梅雨夕焼(つゆゆやけ、つゆゆうやけ)
梅雨の時期に見られる夕焼け

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五月雨について

五月雨(さつきあめ、さみだれ)、さつき雨(さつきあめ)
陰暦五月頃(現代の六月)に降り続く雨。梅雨。
「梅雨」と「五月雨」は同じであるが、梅雨は主として五月雨の降る季節をさし、五月雨は雨そのものをさすことが多い

さみだる
五月雨が降り出した状態



五月雨雲(さみだれぐも)
陰暦五月(現代の六月)のころ、雨を降らす雲

五月曇(さつきぐもり)
陰暦五月(現代の六月)のころの曇り空

五月晴れ(さつきばれ)
梅雨の間のわずかな晴れ間

五月闇(さつきやみ)
梅雨時期は雲が立ち込め、昼間でも薄闇となる

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