「紫陽花」と子季語の意味

季語と子季語のそれぞれの意味

季語の中には、歳時記には掲載されているものの、意味が不明確な子季語も多く存在します。この記事では、より良い季語が選べるように、今回はよく使われる主季語と子季語のそれぞれの意味を解説しています。



紫陽花の季語

下の表では、一番上の「紫陽花」が主季語、その下に並んでいるものが子季語になります。
子季語は、主季語の関連語、という考えで大丈夫です。

紫陽花(あじさい)     日本の梅雨を代表する花
ピンク、白、青紫または赤色の萼(がく)が大きく発達した装飾花をもつ
花びらのような四枚の萼の中心に粒状の花をつけ、これが集まって毬を形づくる
花序(かじょ)が毬の形をしたアジサイは「手まり咲き」と呼ばれる
咲き進むにつれて色が変わるので「七変化」ともよばれる
七変化(しちへんげ)山紫陽花の一品種として七変化がある
また、山紫陽花とは別の花である、ランタナの和名が七変化、紅黄花(こうおうか)である
しかし、俳句で「七変化」と言えば紫陽花を指す、これは咲き進むにつれて色が変わることから
四葩の花(よひらのはな)
四葩(よひら)
一般的に花弁が四枚ある花を四葩と言うが、俳句では四葩と言えば紫陽花を指す
額紫陽花(がくあじさい)
額の花(がくのはな)
額花(がくはな)
紫陽花の一種
花は毬状にならず 平に咲く
中心部は小さな花が粒々と密集してつき、その外側に四片の装飾花をまばらにつける
花は白っぽい色から、青、赤紫、 ピンクなどに変化してゆく
園芸では「額咲き」と呼ばれる
額草(がくそう)ガクアジサイの別名

季語の選び方、使い方のポイント

紫陽花の季語の選びかた

アジサイの季語「七変化」「四葩の花」「八仙花」は、俳句の世界で様々な使われ方をします。

全体の雰囲気: 句全体の雰囲気に合う言葉を選ぶことがあります。明るい雰囲気にはア音から始まる「紫陽花」、落ち着いた雰囲気にはオ音から始まる「四葩」を使う、という考えがあります。

五七五のリズム: 言葉の響きを意識して使い分けることもあります。「七変化」は5音の季語なので、上五か下五に置くとリズムが生まれます。「四葩」は3音で、切れの良い言葉なので、下五に置いて「四葩かな」というように使うと印象的です。

季語の持つイメージ: 各季語が持つイメージを意識して、情景や感情を描き出すこともします。
七変化:花の色が変化する様子を表したり、移りゆく季節や感情を連想させるさいに使います。
四葩:四弁の花の形に着目し、簡潔で落ち着いた印象を与えるときに使います。
八仙花:中国由来の言葉です。少し異国的な雰囲気な印象を与えることができます。

このようなことを意識して季語を選ぶと、作品がより良いものになるはずです

紫陽花忌とは?

「紫陽花忌」という季語があります。
一般的に、著名人の命日を指す言葉です。

俳人・水原秋桜子の忌日(7月17日)を「紫陽花忌」や「秋桜子忌」と呼びます
俳優・石原裕次郎氏の忌日(7月17日)を「紫陽花忌」や「裕次郎忌」と呼びます
作家・林芙美子氏の忌日(6月28日)を「紫陽花忌」や「芙美子忌」と呼びます

「紫陽花忌」と呼ばれる理由は、これらの著名人たちが生前、紫陽花を愛していたり、作品に紫陽花が登場したりするなど、紫陽花との関連性が深い場合が多いからです。

かつては、「○○忌」という呼び方は主に文学者に用いられる傾向がありましたが、近年では俳句の世界においても、様々な分野の著名人の命日に「○○忌」という言葉が使われることが一般的になってきています。例えば、芸能人やプロレスラーの命日に、その人の名前を冠して「○○忌」と詠まれた句が見られることもあります。

関連する俳句

いくらでも水気ほしげに紫陽花は 細見綾子
七変化 陶土をあやす男の指 伊丹三樹彦


紫陽花の俳句にはこのようなものがあります。俳句作りの参考になさってください。

迷わない季語選び!『四季を語る季語』で俳句を楽しもう

季語を選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要がありますが、従来の歳時記には子季語の意味が詳しく記載されていないため、適切な季語を選ぶのが難しいという課題がありました。

『四季を語る季語』は、全ての子季語の意味を網羅することで、この課題を解決し、よりスムーズな季語選択を可能にします。

↓↓下の本がそうです。

タイトルとURLをコピーしました