説明的な俳句の直しかた12の方法

俳句では説明をしないように言われます
ただ、どのような俳句が説明なのか具体的に分からなければ、直しようがありません
ここでは、「どういったものが説明的な俳句なのか」の他に、説明的な俳句を簡単に直す方法を紹介していきます

この記事を読むと
説明的な俳句を見分けることができ、自分で直せるようになります

  1. 説明句の5つの特徴
  2. 説明句と言われる理由と直し方
    1. ①状況報告(なにが どうして どうなった)が説明句と言われる理由
        1. 状況報告は「①語順を変えて(主語を一番後ろにして)」直す
        2. 状況報告は「②語順を変えて(説明部分だけ語順を変えて)」直す
        3. 状況報告は「切れを入れて」直す
        4. 状況報告は「「どうして」を「どのように」に変えて」直す
        5. 状況報告は「「どうして」を二物取り合わせにして」直す
        6. 状況報告は「状況を、その場面で感じたことに変えて」直す
        7. 状況報告は「季語の説明ではなく「何を感じたのか」を書いて」直す
    2. ②原因と結果(~すれば、どうなる)が説明句と言われる理由
        1. 原因と結果は「助詞の「ば」を「を」に変えて」直す
    3. ③動詞の利用(~がある、~になる)が説明句と言われる理由
        1. 動詞の利用は「動詞を名詞に変えて」直す
        2. 動詞の利用は「語尾の「~となる」を消して」直す
    4. ④動詞の多用(走る、歩く)が説明句と言われる理由
        1. 動詞の多用は「他動詞を自動詞に変えて」直す
        2. 動詞の多用は「動詞を名詞にして」直す
    5. ⑤助詞の多用(~が、~を)が説明句と言われる理由
        1. 助詞の多用は「助詞の「が、を、は、に、て、も」を消して」直す
        2. 助詞の多用は「「てにをは」を変えて」直す
  3. 最後に

説明句の5つの特徴

さまざまな俳句を見ていると、説明的な俳句と呼ばれるものには、ある特徴がみられます
それは、次の5つの特徴です

①状況報告(なにが どうして どうなった)
②原因と結果(~すれば、どうなる)
③動詞の利用(~がある、~になる)
④動詞の多用(走る、歩く)
⑤助詞の多用(~が、~を)


このような特徴を持つ俳句は、すべてではありませんが、説明的な俳句と言われやすくなります
これらが、なぜ説明的な俳句と言われてしまうのか、その理由とともに
このような俳句を作ってしまったときの直し方なども紹介します

説明句と言われる理由と直し方

①状況報告(なにが どうして どうなった)が説明句と言われる理由

「なにが どうして どうなった」という形で作られた俳句をよく見かけます
その他に、「いつ だれが どうした」といった形の俳句などもありますが
どれも状況報告のような形となっているため、説明的だと言われます


実際の俳句で見てみましょう

夏蝶が 風に吹かれて 流された

「なにが どうして どうなった」の形になっていますね

次の作品も同じです

砂浜で 家族みんなで スイカ割り

恋人と 夏の浜辺で デートした

このように、「なにが どうして どうなった」や「いつ だれが どうした」といった
報告のような俳句は、状況や結果を述べているのであって、詩ではなく説明と言われてしまいます

このような俳句は、俳句作品そのものが説明文になっている例が多くみられます

砂浜で 家族みんなで スイカ割り
は、そのまま「砂浜で、家族みんなでスイカ割りをした」という説明文です

●状況報告っぽいけれど大丈夫な俳句

「なにが どうして どうなった」や「いつ だれが どうした」といった俳句は説明的だといいました
そうなると、歳時記の例句の中に「これ説明句じゃないの?」と思うような俳句があることに気が付きます

「なにが どうして どうなった」の形に似ている気がする
だけど、例句で取り上げられているのだから説明句ではないのかもしれない・・・
そんな風に思うかもしれません

そのように感じる作品は、写生句と呼ばれる俳句に多く見られます
写生句は、見たままを詠む俳句の作り方のひとつです
見たままを詠むため、どうしても説明っぽく感じます
次のものは、歳時記に載っていた写生句です

春の鹿こちらを向いて坐りけり

説明句っぽく見えますよね
ただ、これは大丈夫な俳句です

先ほどの俳句は「何が どうして どうなった」というような形をとっていました

夏蝶が 風に吹かれて 流された
「何が どうして どうなった」

「何が どうして どうなった」は3つの言葉のブロックで作られています
ブロックの数が多いほど(表では下に行くほど)、より状況説明が増えて、説明的になります

「何が どうして どうなった」
「いつ 何が どうして どうなった」
「いつ 何が どこで どうして どうなった」
「いつ 何が どこで どうして どうなって どう思った」           

歳時記に載っていた俳句を、もう一度見ましょう

春の鹿 こちらを向いて 坐りけり
「何が (どのように) どうした」

こちらは「何が どうした」しか言っていません

「何が (どのように) どうした」と3つの言葉のブロックになっているのでは?と思うかもしれませんが
(どのように)は坐り方の様子を具体的に言っているだけです
言葉を肉付けしているだけです
修飾語ともいいます


写生句は見たままを詠むため、説明っぽくなるのですが
言葉のブロックを減らすことで、説明っぽさを軽減させています
このような俳句は説明句に近いのですが、大丈夫とされる俳句です

「何が どうして どうなった」は説明句
「何が (どのように) どうした」は説明句に似ているけれど、大丈夫な俳句

この違いはとても重要です、説明句を直すときにも出てくるので、両者の違いは理解しておきましょう


では、これから状況報告のような俳句の直し方を紹介していきます

状況報告は「①語順を変えて(主語を一番後ろにして)」直す


何が どうして どうなった」と順を追って書かれたものは、それだけで説明なります


夏蝶が 風に吹かれて 流れゆく
何が どうして   どうなった)


このような俳句は、主語の「夏蝶」を一番後ろにもって行きます

夏蝶が 風に吹かれて 流れゆく
      ↓主語を一番後ろに移動する   
烈風に 吹き流される 夏の蝶

主語が一番後ろに移動することで、説明っぽさが消えます



違う俳句でもやってみましょう

蜥蜴出て 蕎麦待ちの列 乱れたる

「何が(蜥蜴が) どうして(出て) 何が(蕎麦待ちの列が) どうなった(乱れた)」という形です
さきほどより、言葉のブロックが多いですが、やることは同じです
主語の「蜥蜴」を後ろに持っていきます

蜥蜴出て 蕎麦待ちの列 乱れたる
      ↓主語を一番後ろに移動する    
蕎麦待ちの 列を乱して 土蜥蜴

やはり、主語を一番後ろに移動することで、説明っぽさが消えます


状況報告は「②語順を変えて(説明部分だけ語順を変えて)」直す

俳句の中に部分的に説明っぽさがある場合は、その説明部分だけ語順を変えることでも、説明っぽさが消えます


瀬戸内を しばし染めたる 秋入日

この句では「瀬戸内を 染める」が、説明っぽさを感じさせます
順序を追って出来事を書いていることが理由です
ですので、この部分の言葉だけを逆にしてみます

俳句の中に部分的に説明っぽさがある場合は、その説明部分だけ語順を変えることでも、説明っぽさが消えます


瀬戸内を しばし染めたる 秋入日

この句では「瀬戸内を 染める」が、説明っぽさを感じさせます
順序を追って出来事を書いていることが理由です
ですので、この部分の言葉だけを逆にしてみます

状況報告は「切れを入れて」直す

次の句は「何の どこを 何が どうする」というに、言葉が多く説明的になっています

寒梅の 幹にある穴 風抜ける
(何の どこを   何がどうする)

言葉が多いと、直すのにも苦労します
こういうときは、切れを使って「寒梅の幹の穴」と「風が抜ける」を分断してしまいましょう
それによって説明句を解消します

寒梅の 幹にある穴 風抜ける
     ↓「寒梅の幹の穴」と「風が抜ける」を分断する   
寒梅に大きな穴や 抜ける風
     ↓言葉を少し変えてみます
寒梅に大きな洞や 風さみし

一句全体で説明的なものは、切れを使って、説明的な流れを強制的に断ち切ってしまうと良い

状況報告は「「どうして」を「どのように」に変えて」直す

「何が   どうして  どうなった」という形の説明句は
「どうして」を「どのように」に変えることで、説明が解消されます

コスモスが 風に流され 揺れにけり
(何が   どうして  どうなった)

この俳句の「どうして」の部分を、「どのように」に変えてみます


コスモスが 風に流され(どうして) 揺れにけり
           ↓
コスモスが ばらばらに(どのように) 揺れている
コスモスが 色を乱して(どのように) 揺れている
コスモスが 横倒しになって(どのように) 揺れている


「どうして」は状況を説明する言葉ですが、「どのように」は状況の様子を伝える言葉ですので
「どうして」を「どのように」に変えると説明句が直ります

状況報告は「「どうして」を二物取り合わせにして」直す

コスモスが 風に吹かれて 揺れにけり
(何が   どうして  どうなった)

この「何が どうして どうなった」という形の説明句は、「どうして」を「どのように」に直すと良いと説明しましたが、「どうして」をそのまま使いたい、というときもあります

例えば、その風が人間も立っていられないような強い風で、その風に吹き倒されているのを見て心が動いたというのでしたら、「風に吹かれて(どうして)」を入れるべきでしょう
そういうときは
「何が どうして どうなった」を
「何が どうなった」と「どうして」の二物取り合わせにします
これによって、説明句が直ります

実際にやってみましょう


コスモスが 風に吹かれて 倒れけり
「何が   どうして   どうなった」
       ↓
       ↓「何が どうなった」と「どうして」に分ける  
       ↓
コスモスが  倒れた   風に吹かれて  
「何が    どうなった」「どうして」
       ↓
       ↓575にする
       ↓
コスモスが 倒されたるや 風激し

「何が どうして どうなった」という説明句は
「何が どうなった」と「どうして」に分けることで直せます

状況報告は「状況を、その場面で感じたことに変えて」直す

状況を時系列で並べた俳句は、状況説明の俳句になってしまいます
例えば次のような句です

引っ越して 空き家となる 庭に梅

状況はよくわかる説明的な俳句です

このような俳句は、「その場面の状況」を「その場面で感じた感情」に書き換えます
それによって説明句を情景句に直せます
例えば、その場面で作者が「梅が淋しそう」に感じたのであれば、「なぜ淋しそうに感じたのか」を書くということです

考えると、次のような理由で「淋しそう」と感じたかもしれません

誰も寄る人がいないから
誰も愛でてくれる人がいないから   
主人がいないから
主人ともう会えないから

このように、「淋しそう」に感じた理由を、そのまま俳句にします

空き家や 寄る人もなき 梅一樹

その場で作者が感じたことを入れることで、状況説明の俳句が情景句に変わります

状況報告は「季語の説明ではなく「何を感じたのか」を書いて」直す

季語そのものを詠もうとすると、季語を説明した俳句になりやすいので
説明ではなく、季語から「何を感じたのか」を書くと良いでしょう
例えば、次の俳句

山桜 薄紅色に 咲いていた

季語の桜を説明した俳句になっています
こういうときは、薄紅色に咲いて「何を感じたのか」を書きます
「白に限りなく近いけれど、薄く紅がついているのだな」と感じたのであれば

限りなく 白き薄紅 山桜

というように書き直すことができます



違う俳句でもやってみます

一日で 一斉にさく 桜かな

一斉に咲くという桜の説明を、そのまま言うのではなく、一斉に咲いて「何を感じたのか」を書きます
「ためらいもなく一斉に咲かせてしまうのだな」と感じたのであれば

ためらはず 一斉にさく 桜かな


「何を感じたか」は作者の感じたことです
それだけで、季語の説明ではなくなります
また、「何を感じたか」を言うことで、作者が感じた独自の感情を作品にのせることができます

②原因と結果(~すれば、どうなる)が説明句と言われる理由

「〇〇すれば、どうなる」という形の俳句も説明的と言われます
「見られれば~」「指出せば~」「駆けだせば~」などの形をとると、どうしてもその後に「どうなった」という形になってしまいます
次の文章がそうです

「見られれば~、(鳥が)逃げ去る」
「指出せば~、(蝶が)止まる」
「駆けだせば~、(南風が)吹いた」

このように「〇〇すれば、どうなる」という形は、「原因と結果」の説明になってしまいます
ですので、「〇〇すれば、どうなる」という形のときは、説明になっていないか必ず確認する必要があります

では、このような俳句を作ってしまったとき、どのように直せばよいのかについて、これから紹介します

原因と結果は「助詞の「ば」を「を」に変えて」直す

助詞の「ば」を「を」に変える
「〇〇すれば、どうなる」という形は、「風吹けば~、(草が)倒れる」「指出せば~、(蝶が)止まる」といった文章です
このような形は、「原因と結果」の説明になります
こういった、「原因と結果」の説明句は、「ば」を「を」に変えることで直せます

見られれ空に逃げ行く目白かな
   ↓
見られし空に逃げ行く目白かな   

風吹け揺れて応える芒かな
   ↓
風吹く揺れて応ふる芒かな   

「ば」と「を」の微妙な違いだけなのですが
「ば」では、「〇〇をすれば、どうなった」という「原因と結果」の説明だったものが
「を」にすることで、「〇〇の中、どうなった」という写生句になります

③動詞の利用(~がある、~になる)が説明句と言われる理由

○○がある、○○になる、○○をする
といった動詞の入ると説明的になります

これらはどれも、その言葉自体が出来事の説明をする働きがあるためです

では、このような俳句を作ってしまったときに、どのように直せばよいのかを紹介します

動詞の利用は「動詞を名詞に変えて」直す

次のような動詞を使った俳句は、説明的になってしまいます

○○がある、○○になる、○○をする

これらはどれも、「○○がどうした」という形になってしまい、説明っぽさが際立ちます

実際の俳句で見てみます

食事する 吉野桜の 枝の下

「食事をする」をいう部分が、説明的な表現です
このようなときは、「食事する」という動詞を、同じ意味の名詞に変えられないか考えます

食事する 吉野桜の 枝の下
    ↓
    ↓同じ意味の名詞に変える
    ↓
飲食(おんじき)を 吉野桜の 枝の下   

「動詞」を「名詞」にすることで、説明的な感じが消えます

動詞の利用は「語尾の「~となる」を消して」直す

先ほどの「動詞」を消す、と同じですが
語尾に「~となる」という言葉があると、説明的な感じを強くさせます
こういった語尾は消すだけで、説明句が直ります


葉の散りて 蓑虫あからさまとなる
(葉が散って、蓑虫の姿があからさまとなってしまった)
      ↓
      ↓「~となる」を消す
      ↓
枝の葉は 散りて蓑虫 あからさま

「~となる」が消えるだけで、説明的な感じがなくなります
「~となる」以外にも、「~とする」「~になる」「~にする」なども同じです


ちなみに、「~となる」を消すと、語尾は名詞になります
場合によっては、面白い名詞止めの作品になることがあります
これを逆手にとって、わざと「~となる」を付けた俳句を作り、後から「~となる」を消すという作り方もあります

④動詞の多用(走る、歩く)が説明句と言われる理由

「走る」「歩く」「飛ぶ」といった動詞もありますが、こちらはどうでしょう?
「走る」「歩く」「飛ぶ」などの動詞も多用すると説明的になります
動詞があれば、それに対応する主語を書くことになるからです

わたし(主語)が走る
彼(主語)が笑う
君(主語)が打つ

このように、「なにが どうした」という形になってしまい、説明っぽさを感じさせてしまいます

ちなみに、動詞が増えるほど説明的な感じは増します

下の文章では、赤い部分が動詞で、動詞が増えるほど説明的に感じます

鳥の声
鳥が飛んだ
鳥が飛んで枝を移って
鳥が飛んで枝を移って去った

では、このような説明的な俳句を作ってしまったとき、どのように直せばよいのかについて紹介します

動詞の多用は「他動詞を自動詞に変えて」直す

「走る」「歩く」「飛ぶ」などの動詞は、他動詞を自動詞に変えることで、説明句を直せます


「瀬戸内をしばし染めたる秋入日」という句で見ると

「瀬戸内を染める」は他動詞
「瀬戸内は染まる」は自動詞

となります
俳句で見比べてみると、次のようになります

瀬戸内をしばし染めたる秋入日 (他動詞)
瀬戸内はしばし染まりて秋入日 (自動詞)

「他動詞」は「○○を、どうする」という説明的な形になりやすいのですが
「自動詞」は「○○は、どうした」いう様子を詠んだだけになります

他動詞を自動詞に変えることで、説明句が直ることもあります

動詞の多用は「動詞を名詞にして」直す

「走る」「歩く」「飛ぶ」などを見ると分かりますが、
動詞の多くは語尾が「う」で終わりますが、その語尾を「い」に変えることで、名詞にすることができます

【動詞】人が歩く、君が走る、枝を移る、水を流す
【名詞】人が歩き、君が走り、枝を移り、水を流し

語尾を変えて、動詞が名詞に変えることで、説明的な感じが和らぐことが多々あります

⑤助詞の多用(~が、~を)が説明句と言われる理由

「○○が」「△△を」「××に」などの助詞を多用すると説明的になります

「が、を、は、に、て、も」を入れた文章を見てみましょう

「が」 桜美しい
「を」 雪踏んだ
「は」 虹綺麗だ
「に」 池目高がいる
「て」 雲来て雨が降った
「も」 鶯鳴いている

どれも、「何がどうだ、何をどうした、何は何々だ」というように
その前の言葉を説明したり、前後の言葉同士の関係を説明する表現になってしまいます
すべてではありませんが、助詞が多ければ多いほど説明的な雰囲気が強まります

では、そのような俳句を作ってしまったとき、どのように直せばよいのかについて紹介します

助詞の多用は「助詞の「が、を、は、に、て、も」を消して」直す

助詞の「が、を、は、に、て、も」を多用すると、説明的な文章になります
助詞があることで、その前の言葉を説明したり、前後の言葉同士の関係を説明する表現になってしまうからです

「が、を、は、に、て、も」を入れた文章を見てみましょう

「が」 桜が美しい
「を」 雪を踏んだ
「は」 虹は綺麗だ
「に」 池に目高がいる
「て」 雲が来て雨が降った
「も」 鶯も鳴いている

どれも、「何がどうだ」「何をどうした」「何は何々だ」という説明っぽさを感じます
俳句では、助詞を消して説明句を直す方法はよく使われます

実際に消してみます

最初の文章助詞を消した文章
「が」 桜が美しい 美しい桜
「を」 雪を踏んだ踏む雪、雪踏み
「は」 虹は綺麗だ虹綺麗
「に」 池に目高がいる池の目高
「て」 映画を見て泣いた泣ける映画

助詞を消すことで表現がすっきりし、説明っぽさが消えます

助詞をまったく使わないで俳句を作ることは難しいので
助詞が多いときは少なくする、そのような意識で良いでしょう

助詞の多用は「「てにをは」を変えて」直す

助詞を消して説明っぽさを直す方法を紹介しましたが
助詞を消すことができない場合は、助詞を交換することで、説明っぽさが消えることがあります


「ば」を「に」に変えてみる

家の灯の 消えれ増さる 星月夜
↓ 
家の灯の 消える増さる 星月夜

「消えれ増さる」では、「家の灯が消えたことが原因で星が増える」という説明ですが
「消える増さる」では、「家の灯が一つ一つ消えてゆくのに伴って星が増えていく」という映像化の表現に変わります


「てにをは」の、それぞれの俳句を見比べてみましょう

「家の灯の 消えゐ増さる 星月夜」(て)
「家の灯の 消える増さる 星月夜」(を)
「家の灯の 消える増さる 星月夜」(に)
「家の灯の 消えれ増さる 星月夜」(は)


助詞の多い俳句では、助詞を消すことを考えますが
助詞を消そうと思っても消せない場合は、交換することで説明的を直せないか考えてみましょう

最後に

説明句のチェックの方法、直し方などを紹介しました
読んで、なんとなく納得したような気分になるのではなく、実際に俳句で直してみて、説明句の直し方を身につけてください

紹介した直し方がマスターできれば、応用で他の直し方なども見えてきます
ぱっと俳句を見た瞬間に、「ここを直せばよさそうだな」という場所が分かるようになります



今回のように、俳句を直すことを「推敲(すいこう)」と言います
先生が生徒のものを直すことを「添削(てんさく)」と言います
本屋には俳句の添削本がたくさんあり勉強になるので、1冊は読んでもよいと思います

わたしは鷹羽 狩行の「添削例に学ぶ俳句上達法」が一番好きですが、あなたの好みの俳句を作る先生が添削本を出していれば、それを読むのが一番良いでしょう

説明句から一歩脱却して、良い俳句を作ってください

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