「夜寒」という季語があります
この関連季語として「夜を寒み」を掲載している本があります 1.2)
「寒み」は、「寒し」の語幹に接尾辞の「み」がついて「寒み」となったもの
このように形容詞・形容動詞の語幹に接尾辞の「み」が付く場合、多くは上に「名詞+を」を伴い原因・理由を表します 3)
ですので、「夜を寒み」であれば「夜が寒いので(原因・理由)」という意味になります
次の和歌は、そのように使われた例です
夜を寒み置く初霜を払ひつつ草の枕にあまたたび寝ぬ (羈旅・躬恒)
夜を寒み朝戸を開き出で見れば庭もはだらにみ雪降りたり 作者不詳
他の使い方としては
「瀬を早み」は、「早い」の語幹に「み」がついて「早み(早いので・・・)」
「山を低み」は、「低い」の語幹に「み」がついて「低み(低いので・・・)」
などがあります
このように見ると、「夜を寒み」という言葉が季語であることは正しいのか?という疑問が生じます
現代語で「夜が寒いので・・」という言葉を季語にするでしょうか?
普通はしません
「夜寒」は晩秋に感じられる夜の寒さを表す言葉
「夜を寒み」は同じ意味ではありません
同じ意味ではないのですが「夜寒」の関連季語に含まれているため、夜寒と同じように使ってしまう人もいるかもしれません
「夜を寒み」を使う場合は、意味がおかしくならないように気を付けてください
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1) 角川学芸出版.(2006).角川俳句大歳時記.角川書店.
2) 日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.
3) 学研全訳古語辞典.インターネット版.学研教育出版.https://kobun.weblio.jp/category/gkzkj(参照:2024/03/24)