季語の「露の袖」は季語でいいの?

 

「露」の関連季語として「露の袖」「袖の露」という言葉が歳時記に掲載されています 1.2.3

涙を袖の露に見立てた言葉です

 

「露の袖」は和歌でよく使われていた表現で、それが季語になったのでしょう

 

ふきむすぶかぜはむかしのあきながらありしにもあらぬそでの露かな   小町集

暮れかかるむなしき空の秋を見ておぼえずたまる袖の露かな   新古今・秋上

ぬばたまの夜渡る月をおもしろみ吾が居る袖爾露(そでニつゆ)そ置きにける   万葉

草の葉にあらぬたもとも物思へば袖の露おく秋の夕暮れ   山家集・下

 

 

ただ、ここで疑問に思うのですが、「露の袖」の意味は「涙」です

露ではなく涙が、季語になるのでしょうか

 

「袖の露」の意味を、「デジタル大辞泉」に書かれているように「袖にかかる露」とすれば 4

露そのものを指していることになりますが

袖にかかった露がそのまま季語として成立するのでしたら

サドルの露、ボンネットの露、裾の露など、何でも季語になってしまいます

 

「露の袖」の指すものが「涙」でも「露」でも、季語として問題があるように感じられます

 

俳句で使う場合は、一度ご自身で確認をしたほうがよいと感じます

 

 

 

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1)角川書店.(2022).新版角川俳句大歳時記.KADOKAWA.

2)日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.

3)汀子稲畑.(1999).ホトトギス俳句季題便覧.三省堂.

4)監修:松村明.デジタル大辞泉.小学館

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