「聞く・聴く・訊く」の意味の違いと、使い分けを解説!

「聞く・聴く・訊く」を使おうと思ったけれど、どの漢字を使えばいいの?と困ってますよね
この記事ではそれを解決できます
俳句作りの専門家が徹底解説!

「聞く・聴く・訊く」のそれぞれの意味

「聞く・聴く・訊く」という、似た漢字があります
それぞれの意味は次の通りです

聞く音が耳に入る
受け入れる
問う
嗅ぐ
聴く身を入れて耳を傾けて聞く
訊く尋ねる

「聞く・聴く・訊く」の使い分け

それぞれの違いを比較してみます

「聞く」は、自然に音が耳に入ってくるときに使います
「聴く」は、意識を向けて聞くときに使います
「訊く」は、「尋ねる・問う」ときに使います(ただ、表外字のため、一般的には「聞く」が使われる)

「聞く」の、その他のポイント

「香をきく」というように、「匂いや味」を感じ分けるものは、「聞く」のほかに「利く」と書くこともできます
「利き茶」などとも書きますね

「聞き流す」「物音を聞く」などの複合語は一般的に「聞」が使われます

「聞く・聴く・訊く」の例文

「聞く・聴く・訊く」の例文を紹介します

聞く話し声を聞く
聞き流しにする
駅までの道を聞く
香を聞く
聴く音楽を聴く
国民の声を聴く
恩師の最終講義を聴く
訊く人に道を訊く
自分の胸に訊く

「聞く・聴く」の熟語

「聞く」と「聴く」のどちらを使うんだっけ?と迷ったときは、「聞」「聴」の熟語を考えると、思い出すことがあります
それぞれ紹介します


「聞」の熟語
見聞…見たり聞いたりすること
醜聞…よくないうわさ
伝聞…伝え聞くこと
百聞…何度も聞くこと


「聞」の熟語
傾聴…耳を傾けて聞くこと
傍聴…話や演説を聞くこと
拝聴…つつしんで聞くこと
聴取…聞きとること

「聞く・聴く・訊く」を使った俳句

天山のこと聞かせてよ渡り鳥
(渡り鳥よ、天山(佐賀県)のことを私に聞かせて。

シューベルト聴く掌の冷菓子
(シューベルトを聴いている。掌(てのひら)に冷菓子を持ちながら。)

男来て出口を訊けり大枯野
(大枯野を歩いていたら男が来て、私に出口を訊いてきた。)

このように「聞く・聴く・訊く」が使い分けられています
俳句を作っているときに、「聞く」と「聴く」のどっちの漢字だったかなと思ったときは、必ず漢字の意味を確認をするようにしましょう
「こっちでいいや」と言って選んで、誤用している例を多く見かけます
また、漢字の意味を確認するのが面倒だからと、平仮名で「きく」と書く人がいますが、これはもっとやめたほうが良いでしょう
例えば、一番最初の俳句を平仮名で書いてみます

天山のこときかせてよ渡り鳥

平仮名で書かれていると、どの漢字をあてて良いのか読者は分かりません

訊く」を入れてみます

天山のことかせてよ渡り鳥
(渡り鳥よ、天山(佐賀県)のことを私に問わせてちょうだい。

効く」を入れてみます

天山のことかせてよ渡り鳥
(渡り鳥よ、天山(佐賀県)のことをもっと活動させてあげて。

漢字によって意味が大きく変わります
つまり、読者を迷わせることにつながります

今回のように、読みが同じで漢字が違う言葉は、必ず漢字で書くことを勧めます
漢字で書くときに「どちらだったかな?」と思ったときは、面倒がらずに意味を確認する癖をつけましょう

「聴く」と「傾聴」の違い

「聴く」「傾聴」の違いも念のために確認します
「聴く」は「耳を傾けて聞く」という意味です。すでに意味の中に「傾ける」という言葉が入っているため、「傾聴」と何が違うのか疑問が生じます
「傾聴」は「耳を傾けて、熱心に聞く」ことです
「聴く」ことも意識を向けた行為ですが、「傾聴」はさらに意識を向けた行為となります

似た漢字を正しく使えるようになる、お勧めの本

同じ訓読みで違う漢字を「同訓異字」
同じ音読みで違う漢字は「同音異義語」と言います
正しく漢字を使いたい人は、『同音同訓異字辞典』がお勧めです
「同訓異字」「同音異義語」の両方が掲載されている本です
新刊では見つからないので、古本で売っていればすぐに買った方がいいです

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