季語の「日の夏」が夏の太陽?

「日の夏」という季語があります

歳時記には「夏の日(太陽)」と同じ意味と書かれています 1.2

 

ただ、日の夏と言われて、夏の太陽を思い浮かべる人はどれくらいいるでしょうか?

 

一般に「日の夏」という言葉は、太陽という意味で使うというより

次のような文脈で使われます

少年の~、過ぎし~、遠い~、幼き~

 

なぜ日の夏が夏の太陽という意味であるのか?についての説明は、歳時記には書かれていません

日の夏が夏の太陽という意味であるなら、辞書に載っていてもよさそうですが、見つけることはできません

 

歳時記で紹介される季語には、誰かが作った和歌や俳句の中から言葉を切り取って季語にしていることがあります

例えば、「日の夏や葎をのぼる蝶の息」といった句の「日の夏」だけを切り取るといったように

 

実際にこのようにして「日の夏」が収録されたのかは不明ですが、いまあげた句での「日の夏」は「夏の日(太陽)」という意味では使っていません

「夏の日(太陽)」を倒置させて「日の夏」とすることで、照り付けるような太陽、ぎらぎらとした太陽、というように、読者に夏らしい太陽の想像を委ねたものです

ですので、「日の夏」のそれだけを切り取って「夏の日(太陽)」と同じ意味にするのは、すこし無理があります

 

 

日の夏がなぜ夏の太陽を指すのかについて説明が見つからない以上、正しいのか?間違いなのか?判断のしようがありません

 

「日の夏」を夏の太陽として使う場合は、一度確認をしてから使ったほうが良いかもしれません

 

 


 

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2) 日外アソシエーツ.(2015).俳句季語よみかた辞典.日外アソシエーツ.





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