七十二候の一つ「半夏生、半夏生ず」の読み方の謎・・

七十二候の一つに「半夏生」がありますが、本によって3種類の表記に分かれます

「半夏生(はんげしょう)」「半夏生(はんげしょうず)」「半夏生ず(はんげしょうず)」です

 

次の本は「半夏生(はんげしょう)」と書いています

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次の本は「半夏生(はんげしょうず)」と書いています

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次の本は「半夏生ず(はんげしょうず)」と書いています

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次の本は「半夏生ず(はんげしょうず)」と「半夏生(はんげしょう)」の両方で書いています

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七十二候は中国から来たため、昔は「竹笋生(たけのこしょうず)、螳螂生(かまきりしょうず)、半夏生(はんげしょうず)」と書いていました

ただ、これでは読みづらいため送り仮名をつけて「竹の子生ず、螳螂生ず、半夏生ず」と書くようになりました

ですので、半夏生(はんげしょうず)、半夏生ず(はんげしょうず)は分かります

 

分からないのは、半夏生(はんげしょう)です

 

「半夏生(はんげしょう)」と書いている各事典は、半夏生の名の由来を「半夏(カラスビシャク)という名の植物が生える頃であることからその名が付いたと書いています 1.2.3.4.5

このような意味で名前が付いたのでしたら、普通は「生ず」を使った半夏生ず(はんげしょうず)と書くように思うのですが

なぜ半夏生(はんげしょう)と書くのでしょうか?

 

「生ず(しょうず)」と「生(しょう)」は、漢字が同じでも意味は違います

「生(しょう)」だけでは、生きる・生命などの意味になります

 

七十二候の中には

「竹の子生ず」というものがありますが、「竹の子生(たけのこしょう)」とは言いません

「蟷螂生ず」というものもありますが、「蟷螂生(かまきりしょう)」とは言いません

ただ「半夏生ず(はんげしょうず)」は「半夏生(はんげしょう)」と言っています

 

半夏(カラスビシャク)が生じる頃、ということで「半夏生(はんげしょう)」になったと書かれていましたが

この半夏(カラスビシャク)に名前の似た植物があります

ドクダミ科の半夏生(ハンゲショウ)という植物です

まさか、これを誤用したということはないと思うのですが・・・

 

 

世界大百科事典21巻p.312には「半夏生(はんげしょうず)」、p.313には「半夏生(はんげしょう)」と2つの読み方が隣り合わせで記載されています 6

なぜ使い分けているのか、文を見ても分かりませんでした

 

 

仮に半夏生(はんげしょう)という読み方が正しかったとしても

植物の半夏生(ハンゲショウ)と誤認してしまうため、俳句で使う場合は「半夏生ず(はんげしょうず)」を使ったほうが良いように思います

 


 

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1)株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」

2)株式会社平凡社百科事典マイペディア

3)ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

4)小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

5)シナジーマーティング()日本文化いろは事典

6)世界大百科事典.21.1988.下中弘.平凡社.

東京商工会議所地域振興部.東京三昧カレンダー2023().東京商工会議所.

平野恵理子.歳時記おしながき.絵で楽しむ、四季を味わう.(2016).学研プラス.





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