「伝わらない俳句」の3つの原因

 

 

句会などに参加していると、必ず

伝わる俳句を作る人と、伝わらない俳句を作る人の2つに分かれます

伝わらない俳句になる理由は色々ありますが、今回は3つの原因に焦点を絞って説明します

次の3つを意識するだけで、伝わる俳句にぐっと近づけるはずです

 

 

 

    
具体的に表現すること

 

伝わる俳句の多くは具体的な表現がされていますが、伝わらない俳句には具体例がない。そんな傾向があります。

 

【例句】

夏の朝子供が駆けてをりにけり

 

 

この句は、ぱっとみると、その時の様子は分かりますが、それ以上の具体的なことは分かりません

ここで言う「駆ける」とはどういうことなのか、具体性がないのです

マラソンをしても駆けますし、母親を見つけたときも駆けます。鬼ごっこをしても、大好きな先生を見つけても駆けます。

つまり「駆ける」という抽象的な言葉では、読む人に伝えたことにはならないのです。

 

 

【推敲】

夏の朝波に追われて子の駆ける

 

具体例を盛り込むことによって、書き手が何を言わんとしているのか、その真意が伝わります。具体例には、情報を明確化する力があります

 

 

 

 

 

    
皆が知っている題材を使うこと

 

伝わる俳句の多くは皆が知っている材料を使っているのに対して、伝わらない俳句では、皆が知らない題材を使っている傾向があります

一般的に、人は知らない物を映像化することは困難だということを、頭に入れておきましょう

ミカンという言葉からは、ほとんどの人が映像を浮かばせることができますが、バンレイシ(中南米の果物)と聞いて映像を浮かばせることができる人は、日本にはほとんどいません

まったく知らない物では、映像を浮かばすことができないため、想像をするしかありません

聞いた人が、それぞれの想像をしていては、正確に伝わったとは言えません

 

俳句作りに慣れてくると、人とは違う俳句を目指したくなり、特殊な材料を使いたい衝動にかられますが、こういうときこそ気を付けた方が良いと言えます

誰も知らない材料を使っても、伝わらないだけで終わってしまうということが往々にしてあります

 

 

 

 

 

 

    
簡単な言葉を使うこと

 

伝わらない俳句に多いのが、難しすぎる言葉を使っていることです

誰もがそうですが、簡単な言葉ほど頭の中で想像しやすいものです。つまり、伝わりやすいのです

それを分かっているのにも関わらず、俳句を作る人の多くは、難しい言葉や、聞いたことのない言葉、普段は使わない言葉を使ってしまいます

難しい言葉を使うと、俳句に厚みが増すのではないか、という思いが頭の片隅にあるのかもしれません

 

本やインターネットなどで文章を読んでいるときに、全く未知の言葉が出てくると、人はそれ以上先を読もうとしなくなります。おそらく皆さんも、一度くらいはそのような経験をしたことはあるのではないでしょうか

自分に理解できない言葉が出てくると、「これは難しすぎる」「この人の言っていることは意味が分からない」と思い、脳が拒絶反応を起こしてしまうのです

俳句も同じです

難しい言葉が出てくると、そこで流れは途絶えてしまいますし、それ以上読もうとは思わなくなります

実際に俳句は17音しかないので、最後まで読むことは読むのですが、17音の中の一カ所でも意味の分からない単語があれば、決して句の意味は理解できません。つまり伝わらないということです

 

このように言うと、「それは読み手の理解不足・知識不足だ」という人がいます

確かにそういう一面もあるのかもしれません

しかし結局のところ、いくら作り手が「自分の句が伝わらないのは読者が悪い」と声をあげても、読者には知ったことではありませんし、読者が辞書をひいてまで、その句を理解する理由もありません

 

作り手が読者に歩み寄り、読者にも分かる言葉を使うという配慮も、伝わる俳句を作るうえで必要だと思います

 

 

 

まとめ

伝わる俳句を作るためには、次の3つを意識しましょう

    
具体的に言う

    
皆が知っている題材を使う

    
簡単な言葉でつくる

 

 

 

 

 

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