俳句で正しく旧仮名を使う方法

文語文法

「俳句を旧仮名で作りたいけれど、間違って新仮名で書いてしまう」
「旧仮名を確認する方法がわからない」
そのような方のために、旧仮名を確認する方法を紹介します

この記事を読むと
「新仮名」と「旧仮名」で文字の変わるもの
「旧仮名」を確認する方法
などが分かるようになります

どうしても旧仮名が分からない人のために、「新仮名」「旧仮名」の変換サイトも紹介しています

新仮名と旧仮名で文字の変わる単語

俳句を作るとき、多くの人は旧仮名(昔の平仮名)で作品を書きます
「ちょうちょう(蝶々)」であれば、旧仮名で「てふてふ」と書きます
他にも
「どじょう」は「どぜう」
「かおり」は「かほり」
「おもいで」は「おもひで」
「○○のような」は「○○のやうな」
「もみじ」は「もみぢ」
などと書きます

このようにみると、普段書きなれない旧仮名を使えるかどうか、不安になりますよね?
また、旧仮名で書くためには、すべての単語の旧仮名を覚えなければいけな?とも思ってしまいます
そのような不安を抱く必要はありません
新仮名を旧仮名に直す方法は簡単ですので、安心してください

この記事では、辞書で旧仮名を調べる方法を紹介しますが
その前に、辞書で調べる必要のある文字と、調べる必要のない文字があるので、見分け方を先に紹介します
それを知っていると、無駄に文字を調べる必要が無くなります

辞書で調べる必要のある文字

辞書を使って旧仮名を調べる前に
「辞書で調べる必要のある文字」を紹介します

実は、新仮名と旧仮名で表記の変わる文字は決まっています

下の表に書かれた新仮名だけが、旧仮名で表記が変わります
つまり、表の新仮名が出てきた時だけ、辞書で確認すれば良いということを知っておきましょう
これは、とても重要です
「あいうえお・・・ん」の46文字全部を調べる必要はないということです

い、う、え、お、か、が、じ、ず、わ
ゆういうおう、こう、ごう、そう、ぞう、とう、どう、のう、ほう、ぼう、ぽう、もう、よう、ろう
きゅう、ぎゅう、きょう、ぎょう、しゅう、じゅう、しょう、じょう、ちゅう、ちょう、ぢょう、にゅう、にょう、ひゅう、びゅう、ひょう、びょう、ぴょう、みょう、りゅう、りょう

↑この文字が入っていたときは、旧仮名で文字が変化する可能性があるので、辞書で調べなければいけません

例えば
「食う」という単語、表の中に「う」が入っているので、旧仮名で「う」が変化する可能性があります。ですので、辞書で調べます

「太陽がこうこうと照る」という文章、表の中に「こう」が入っているので、旧仮名で「こう」が変化する可能性があります。ですので、辞書で調べます

「走る」という単語、表の中に「る」はないので、調べる必要はありません

ということです

このようにして、調べる必要のある文字が分かります
調べる必要のある文字がわかったので、実際に辞書を使って旧仮名を調べてみましょう

辞書で旧仮名を調べる方法

辞書をつかって旧仮名を調べますが
辞書は、電子辞書、紙の辞書、ウェブの辞書など、何でもいいです
使い慣れているものでやってみましょう

例えば、「沿う」という単語は「う」という平仮名が入っているので、確認をする必要がありますね

実際に、辞書で「沿う」をひいてみましょう

電子辞書の結果を見ると
そ-う【沿う】ソフ
と書かれています
このカタカナ表記の「ソフ」が旧仮名です

紙の辞書も同じです
そ-う ソフ 【沿う】
と書かれています
カタカナ表記の「ソフ」が旧仮名です

ウェブの辞書は
そ-う [そふ] 【沿う】
と書かれています
[そふ]が旧仮名です

つまり、「沿」は旧仮名では「沿」と書くということです
簡単に調べることができましたね

今回は「そふ」という、別の仮名表記が書かれていましたが
もし何も書かれていなければ、旧仮名は変化しないと言うことです

おすすめの辞書は「goo辞書」

辞書で旧仮名を調べる方法を紹介しましたが、調べるうえでの、それぞれの辞書のデメリットを紹介します

古語辞典で調べる場合の注意点
古語辞典は多くても収録語は4万語ほどです。主要な語を中心に掲載されているため、少し変わった単語を調べるのができないというデメリットがあります

国語辞典で調べる場合の注意点
多くの国語辞典で旧仮名を確認することはできますが、辞書によっては旧仮名表記を省略しているものもあるので、そのような辞書では確認はできません

ネットの辞書で調べる場合の注意点
ネットの辞書は数百の辞書を横断検索できるため、調べたい単語はほとんで検索できますが、数百の辞書の中には旧仮名表記を省略している辞書もあり、その辞書で単語がヒットした場合、旧仮名は表示されません。旧仮名が表記していないから「この単語は旧仮名では変化しないのだな」と誤って認識してしまうことがあるので、注意が必要です
ただ、「goo辞書」では、旧仮名表記を省略している辞書で単語がヒットしても、機械的に旧仮名を表記してくれます
そのようなことから、私はgoo辞書」をお勧めします

実際の俳句で「新仮名」を「旧仮名」に直してみる

実際の俳句で、いまのことをやってみましょう

「 入学式 終えて子の目の 安堵かな 」

この俳句を旧仮名に直します
この句のばあい、確認するべき単語は「終えて」だけです
「え」だけが変化する可能性があるからです

辞書で「終える」で調べたところ

「お・える 終える ヲヘル」

と書かれていました
つまり、旧仮名で書くときは「終へる」と書くことが分かったので
俳句はこのように直します

「 入学式 終えて子の目の 安堵かな 」 (新仮名)
        ↓
「 入学式 終へて子の目の 安堵かな 」 (旧仮名)


初めのうちは、表の中にある文字が作品の中にないか確認をして、あれば辞書を引く、という作業が手間取るかと思いますが、何回かやっていくとスムーズにできるようになります

旧仮名から新仮名への表記のルール

旧仮名は1946年から新仮名に変わりました
そのとき、
旧仮名の「い・ゐ・ひ」は、新仮名では「い」と表記しましょう
旧仮名の「う・ふ」は、新仮名では「う」と表記しましょう
といったルールが発表されています
文化庁のページでも確認できますが、このページにも表を載せておきます

新仮名・旧仮名の比較表
新仮名  旧仮名
い ゐ ひ
う ふ
え ゑ へ
お を ほ ふ
か くゎ
が ぐゎ
じ ぢ
ず づ
わ は
      
ゆうゆう ゆふ いう いふ
いういふ
おうおう あう あふ わう はう
こうこう こふ かう かふ くゎう
ごうごう ごふ がう がふ ぐゎう
そうそう さう さふ
ぞうぞう ざう ざふ
とうとう たう たふ
どうどう だう だふ
のうのう のふ なう なふ
ほうほう ほふ はう はふ
ぽうぽう ぽふ ぱう ぱふ
ぼうぼう ぼふ ばう ばふ
もうもう まう
ようよう やう えう えふ
ろうろう ろふ らう らふ
 
きゅうきゅう きう きふ
ぎゅうぎう
しゅうしゅう しう しふ
じゅうじゅう じう じふ ぢゅう
ちゅうちゅう ちう
  
にゅうにゅう にう にふ
ひゅうひう
びゅうびう
りゅうりゅう りう りふ
  
きょうきょう きゃう けう けふ
ぎょうぎょう ぎゃう げう げふ
しょうしょう しゃう せう せふ
じょうじょう じゃう ぢゃう ぜう でう でふ
ぢょうぢゃう でう
ちょうちょう ちゃう てう てふ
  
にょうにょう ねう
ひょうひょう ひゃう へう
びょうびゃう べう
ぴょうぴょう ぴゃう ぺう
みょうみゃう めう
りょうりょう りゃう れう れふ

↑表を見る際はクリックしてください
表の一番下を見ると
旧仮名の「りょう・りゃう・れう・れふ」は、新仮名では「りょう」という表記になったことが分かります

ここで言いたいのは
旧仮名の「りょう・りゃう・れう・れふ」を新仮名で書くときは「りょう」と書けばいいのが分かるのですが
新仮名の「りょう」を旧仮名で書くときは「りょう・りゃう・れう・れふ」のどれかであって、その中のどれかは、辞書を調べなければ分からないということです
旧仮名から新仮名にするルールはありますが、新仮名から旧仮名に戻すルールはありません。この無いものを探すのに時間をかけて欲しくないので記事にしました

旧仮名に変換してくれるサイト

勉強はしているけれど「まだ旧仮名に直すのが苦手」という人は
まるやるま君と呼ばれるサイトで、「新仮名」と「旧仮名」の変換をしてもらうという方法もあります
ただ機械的に直すので、100%正確ということはないので注意してください

まるやるま君サイトはこちら >>>

旧仮名で俳句を作るのにおすすめの本

旧仮名で俳句を作る人は、こちらの本がおすすめです
新仮名と旧仮名で表記の違うものがすぐ調べられます
「俳句作りに必須の本」というレビューも見かけますね

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